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夜尿症ってなに?
おねしょと夜尿症ってどう違うの?
5歳未満の子どもでは、おねしょ(夜寝ている間の尿もれ)といいますが、5歳以降で月1回以上のおねしょが3カ月以上続く場合は「夜尿症」と診断され、治療が必要な場合があります。
どうして夜尿症になるの?
寝ている間に作られる尿の量が多すぎたり、膀胱に尿を十分にためられないことが関係しています。夜尿症の場合、膀胱が尿であふれそうになっても起きられないため、寝ている間に尿もれをしてしまいます。
※夜尿症ではなく他の病気が原因で、寝ている間に尿もれをしている可能性もあります。
夜尿症がある子どもはどのくらいいるの?
夜尿症はアレルギー疾患に次いで2番目に多い小児の慢性疾患と言われています。(※1)また、日本の小中学生を含む5~15歳の約80万人(推定)に夜尿症があると考えられます。(※2)
夜尿症は子どもの自尊心を低下させ、自信をなくしたり、学校生活や友人関係に影響を与えることがあります。
(※1)大友義之、他:日児腎誌29(2):122-129,2016
(※2)大友義之、他:小児科診療76(4)661-666,213
夜尿症はいつまで続くの?
おねしょ(夜尿症)はいつまで続くの?
おねしょ(夜尿症)はそのうち改善する、とよくいわれます。実際、第二次性徴を迎える12歳を過ぎるころには、夜尿はみられなくなることが多いのですが、成人まで続くこともまれではありません。
「夜尿症が1年でどの程度よくなるの?」については、いくつかの報告があります。
ご家族の多くは、すぐにでも夜尿症が改善してほしいと考えておられるようですが、通常いわれているより、改善するまでには長い期間かかる場合が多いといえます。夜尿症は医療機関で治療を受けることで、治癒率は2~3倍になります。(※3)
改善しにくい夜尿症は?
夜尿が改善する時期は、そのお子さまの年齢、夜尿の頻度、原因に大きく影響されるため、個々のお子さまで異なります。一般的には右表のような場合、改善しにくい夜尿症と考えられます。
このような場合は、自然になくなるのを待つよりは、医療機関に相談することが勧められます。
(※3)日本泌尿器科学会 『おねしょ』(夜尿症)が治らない(外部サイト)
・寝てすぐに夜尿がみられる
・夜尿が1晩に2~3回みられる
・昼間に尿失禁や頻尿がある
・塩分のとり過ぎ
・習慣性多飲 など
医療機関に受診する目安は?
夜尿症は、医療機関で治療できる病気です。下表を参考に医療機関への受診を考慮することが推奨されます。一人で考え込んでしまうような場合には、年齢や夜尿日数に関係なく医療機関を受診してみましょう。
なお、受診に際しては、お近くの小児科もしくは泌尿器科の医療機関(病院、診療所)に電話で診療の可否を確認のうえ受診することをお勧めします。
毎晩夜尿がある | 週に4~6日の夜尿がある | 週に2~3日の夜尿がある | 週に2~3日の夜尿がある | |
---|---|---|---|---|
5歳 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
6~7歳 | ▲ | ▲ | 〇 | 〇 |
8~9歳 | ★ | ▲ | ▲ | 〇 |
10歳以上 | ★ | ★ | ▲ | ▲ |
〇家庭にて経過をみる
▲生活習慣を見直しても、改善しなければ医療機関への受診が望ましい
★医療機関への受診が望ましい
夜尿記録をつけてみよう
医療機関では、子どもの夜尿記録などを参考に治療を開始する場合もあります。
記録表に、数日程度の夜尿記録を記載されると診断や治療に役立ちます。
夜尿症にはどんな治療法があるの?
初診時には問診や尿検査を行います。夜尿症と診断されると、まずおねしょ日誌などを用いながら、生活改善に取り組みます。生活改善により夜尿症の改善が見られる場合は継続し、改善しない場合は薬物療法やアラーム療法で治療することが推奨されています。
夜尿症の治療 ①生活改善
まず生活改善から始めます。
- 早寝・早起きをし、規則正しい生活をする
朝食と昼食はしっかり摂りましょう。夕食後から寝るまでの時間を2時間程度空けるようにしましょう。夕食後から寝るまでの時間が短いと、おねしょをしやすくなります。 - 水分の摂り方に気をつける。
日中、水分をしっかり摂りましょう。夕食後はコップ1杯程度までにしましょう。 - 塩分を控える
- 便秘に気をつける
- 寝る前にトイレに行く
- 寝ているときの寒さ(冷え)から守る
- 夜中、ムリにトイレにおこさない
夜尿症の治療 ➁薬物療法
夜尿症のくすりはいくつか種類があります。
- 尿の量を調整する働きをもつ薬
- 膀胱の収縮を抑える働きをもつ薬
夜尿症のくすりは年齢や症状などに応じて使い分けたり併用したりします。医師や薬剤師の指示に従ってください。
夜尿症の治療 ➂アラーム療法
アラーム療法とは、夜尿を本人に気づかせ、寝ている間にためられる尿の量を増やし、夜尿回数を減らしていく方法です。パンツや専用パッドにセンサーをセットします。夜尿をすると、音、光、バイブレーションなどによるアラームが出ます。
アラーム療法は、毎日実践する必要があります。本人のモチベーションとご家族の協力が必要です。
おねしょで悩むお子さまとご家族へ
夜尿症って親のしつけの問題?
おねしょは子どもの性格やご家族の育て方などとは関係がありません。子どもがおねしょをするのは自分のせいだと、ご自身を責める必要もありません。大切な事は「焦らない、起こらない、比べない、ほめる」事です。
おねしょをしてしまった子どもを怒ったり、兄弟と比べたりしないでください。約束が守れたときやおねしょをしなかった日はしっかりとほめてあげましょう!
生活改善にあたって注意することは?
長い間の習慣を変える事は簡単ではありません。子どもは「あれもダメ、これもダメ」と制限される環境におかれ、ストレスを抱えてしまうことが多いので、肯定できる環境をなるべく作ってあげましょう。
例えば・・・
- 同じ水分量でも、より多く感じられるよう、コップに氷を多めに入れてあげる、小さいコップを使う。
- 寝る前に忘れずにトイレにいけたらほめてあげる。
日記のつけ方
日記をつけて夜尿の変化を観察しましょう。
夜尿の経過を確認したり、重症度を判断するためには、毎日「夜尿日記」をつける必要があります。日記は、治療方針を決めたり、治療の作用や生活指導をきめこまやかにしてもらうためにも大切です。
1、夜尿の有無(◎、△、×印)
×=夜尿があった場合
ご家族が寝る頃もしくは起床時に、お子さまの布団をチェックし、夜尿をしていたら、その時間に×印を記入。
△=夜尿をしたあとで、自分で目覚めた場合
◎=自分で目覚めてトイレに行った場合や夜尿なし(起床時)の場合
2、寝具のぬれ具合(7、おむつの重さを記入した場合は不要)
多=シーツまでぬらした場合
中=パジャマまでぬらした場合
小=パンツのみぬらした場合
3、がまん尿
帰宅後の夕方、おしっこのがまん訓練をしたときの尿量を記入してください。
4、夕食から寝るまでの水分摂取量
夕食時から寝る前までに摂取したおおよその水分量を記入してください。
5、服薬/点鼻の確認
お薬を服用、もしくは点鼻(スプレー)した日に○印を記入してください。
6、夜尿の回数(0、1、2)
ひと晩の夜尿の回数を記入。寝入りばなに夜尿をして、そのまま朝まで目覚めなかった場合、ひと晩に夜尿を2回した可能性もあります。これは夜尿の量でご家族が判断して記入してください。
7、おむつの重さ
おむつを使用している場合、おむつの重さ(元の重さを引く)を記入します。おむつをしていない場合は、2、寝具のぬれ具合を記入してください。
8、起床時の尿量
朝起きたらトイレで排尿させ、そのときの尿量を記入します。出ないときは0と記入します。
9、一晩の尿量(おむつの重さをはかっている場合)
「おむつの重さ」と「起床時の尿量」の合計を記入します。
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